・TOP・
・ABOUT・
・UPDATE・ ・GALLERY・ ・LINK・ ・BBS・
【 B L U E M I N T 】

・ROMANCES・   -INDEX-



今まで見たことがない程、穏やかな笑み。

それが、消える直前のアイツの顔だった。



いつまでも続く訳などない。
たとえそれが良いことでも悪いことでも。
そんなことは最初から知っていたはずだった。



― デモ、ソレデモ ―



アイツは自分の生を疎んでいた
アイツは生きとし生けるものを、自身を、世界を、憎んでいた


― デモ、ソレデモ ―


俺はアイツに生きていて欲しかった、俺を狂わせたアイツに。

けれど、アイツは拒絶した。


アイツは滅びたがっていた、そして消えた。

同時に俺は拒まれて、…捨てられた。


もう、手を伸ばして涙を拭ってはやれない。
もう、優しく微笑んでやれない。


――もう、何も出来ない。

【 ヤクソク 】




戦いが、終わった。

さっきまでの混沌とした気配は消え、まるで春が来た様なうららかささえ感じる。

雪が溶け、草花が芽吹き、空は美しく澄みきっている。



「・・・」



吐き気がした・・・。

アイツはもういない。助けてやれなかった、救ってやれなかった。


もう消えれば良い。
偽善的な神も、滅びを望む魔族も、生を謳う人間も。
そして、俺自身も。
全て、全て・・・消えてしまえばいい。

そう、思った。




― モシモ… ―

刹那。


「・・・・・・!!」


羽根が…純白の羽根が舞い落ちてきた。
俺たちを包むように、優しく、艶やかに・・・


― モウイチド、デアエタラ… ―


・・・これは・・・一体。

「・・・っ!」

舞う羽根から一瞬女の姿が見えたかと思うと、何かが現れた。

アイツの髪の様な、淡く、美しい、翡翠の様な宝珠が。


― ソノトキコソ ―



「・・・コイツは」


間違いない、あぁ・・・間違いない。


フィリアの手の中に納まった、小さい小さい命の鼓動。


「・・・ヴァルガーヴ」





― …イッショニ… ―








その晩、俺は夢を見た。ヴァルガーヴが立っていた。

穏やかな笑み・・・だが、死ぬ時とは明らかに違う。



「・・・・・・」
「・・・・・・」



何も言わないヴァルに、俺はただ微笑んで、髪を撫でて、抱きしめた。

背中に感じるアイツの手のあたたかさに、想いがあふれそうになった。









「・・・ガウリイ、泣いているのか?」

「泣くかよ」

「そうか・・・」


満ちたりた声で擦り寄るヴァルの肌は相変わらず少し冷たい。

「・・・ガウリイ」
「何だよ・・・また消えちまう気か?
言っとくが、以前みたく飛び立っちまうつもりなら、俺はこのままお前を離さないぞ」

「・・・待っていてくれるか?」

「・・・ヴァルガーヴ・・・?」

少し離して、ヴァルを見つめる。
生きた目をした、とても美しく、穏やかに微笑む男がそこにいた。


「俺を・・・待っていてくれるか?」

「・・・」


小さな命。
しかし、人間と違う時間の流れの中で、それはすぐに生きる鼓動を早くして、大きくなるだろう。

小さいうちは会っても分からないかもしれない、だがそれでも構わない。
それならまた、0から始めれば良いだけの話だ。

またこうして出会う日の為に。


「早くデッカクなってくれないと、俺がじいちゃんになっちまうぜ?」
「ふ、すぐに追いついてやるさ・・で、返答は?」
「聞くまでもないだろ?」


俺の返答がお気に召したのか、ヴァルは唇でそっと俺の頬に触れた。


「約束したからな」
「あぁ、約束だ」


― オイテイクコトモ、オイテイカレルコトモ、イヤナラバ ―



ヴァルの姿が消えていく。

別れる為ではなく、再び出会う為に。


約束は・・・互いに交わすもの。
決して切れることのない者たちの誓い。

「・・ヴァル・・・」


― トモニイキレバイイ ―



今度はいつまでも一緒にいられるように・・・

いつまでも隣で笑っていられるように・・・



「俺は、お前が好きだよ」


今度は俺が迎えに行くよ。




またな・・・








【 END 】



戻る
前へ
次へ